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HRM[ヒューマンリソースマネジメント]とは
「HRM」とは“Human Resource Management”の頭文字の略ですが、日本語に直訳すると「人的資源管理」です。大学などの研究者の間では「人的資源管理論」という専門的な学問分野の一つになっていますが、最近は、少し堅苦しい専門用語なのでやわらかい表現として「人材マネジメント」と呼ばれるようになりました(守島基博『人材マネジメント入門』日本経済新聞社)。
日本では一昔前までは労務管理や人事管理もしくは人事労務管理と呼ばれていましたが、採用・退職、配置・異動、評価・処遇、育成、福利厚生、労使関係などの人事部の専門的な職能領域を意味していました。
では、最近の人的資源管理や人材マネジメントとは何が違うのでしょうか。
人材こそ経営の最重要資源
大きな違いの一つは、企業経営において戦略を生み出したり実現したりする際の最も重要な資源が人材であるという考え方にあります。従来は人事部を中心にして如何にして人材のモチベーションの高さを維持して生産性を向上させるかということに腐心してきました。ところが、今日のようにグローバル化する激流の時代を生き延びるためには、他の会社とは違う何かをベースにした戦略を描いて実現することが不可欠です。そしてこうした差別化の源泉が、モノやカネから知識やそれを生み出し保有する人材に移行するに従って、人材マネジメントが直接的に企業の戦略に貢献することが求められるようになりました。成果主義とはまさにこうした背景が根底に流れているのかもしれません。
個人と企業の関係性が変化
二つ目の違いは、人材の囲い込みを前提としない個々人のキャリアを尊重するという姿勢にあります。従来は終身雇用という考え方を暗黙の前提として「定年退職するまで会社の言う通りに頑張って働けば、決して悪いようにはしないから・・・」というわけで、生涯にわたって特定の会社に滅私奉公することが美徳であるとされてきました。しかし1990年代の相次ぐ大手企業の倒産やリストラによって、こうした暗黙の前提は崩壊しつつあります。「チャンスがあれば自分の能力を発揮してやりがいのある仕事をしたい」とか、そのためには「一つの会社にこだわる必然性はない」と考える若者も少なくありません。その結果、会社の都合だけで人事異動や転勤を強いることは徐々に難しくなり、本人の将来的なキャリアなどの志向や意志を尊重することが不可欠になりました。
また、人材の採用についても会社が一方的に「選抜する」というだけでなく、優秀な人材に「選ばれる」という側面が強くなってきました。そのためには優秀な人材にとって魅力ある仕事ができて、本人の将来的なキャリア形成にメリットがある企業であるか否かが重要な問題になります。
マネジメントの主体は本社人事から現場へ
三つ目の違いは、誰が人材をマネジメントするのかという問題です。従来は本社の人事部が人事管理の仕組みや制度を設計して、トップマネジメントの了承を得た上でライン管理者や一般社員に影響力を駆使してきました。しかし今日のように現場の事業環境が激しく変化し続ける状況では、本社の人事部が現場の状況を的確に把握することは困難です。企業の事業部門や職能部門に共通する必要最低限の公平性を担保したり、将来的な経営幹部を育成したりする以外は、現場の状況に合わせて最適な人材マネジメントを実践することが求められています。たとえば原子力を扱う事業部とパソコンを扱う事業部では求める人材像も違えば、評価や報酬の仕組みも異なるのが当然でしょう。その結果、本社人事部からラインへと人事権などの権限移譲が不可欠になりました。
最後の違いは、人材情報のマネジメントの問題です。従来は本社の人事部が人事発令や給与計算などを中心として集中的に人事情報を管理していればよかったのですが、実質的な人材マネジメントの権限や主体がライン管理職などの現場に委譲されるに従って、現場が必要とする人材情報をタイムリーに提供するサービスが要求されるようになりました。ヒューレット・パッカードの言葉にあるように「測定できないものはマネジメントできない」からです。







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