- コーチングから
ソリューション・フォーカスト・アプローチへ
〜全く新しい問題解決、コミュニケーション技法〜
ソリューション・フォーカスト・アプローチへ
〜全く新しい問題解決、コミュニケーション技法〜
目からうろこ
全く新しい問題解決アプローチであるソリューション・フォーカスト・アプローチ(以下、SFAと略す)との出会いは新鮮だった。心理療法やコーチングから生まれたメソッドで、問題は脇に置き、解決に焦点をあてる。
SFAでは『あるべき姿』と『現状』のギャップを重視しない。我々はそれを『問題』として捉えてきたので、分析して悪いところを探してしまう。SFAは逆で、現状を肯定する。出発点から現状まで、より良くなってきたのだし、今も悪いところより良い所が多いはずだから。
『あるべき姿』から『現状』を見れば、下向き矢印だが、『現状』から『ありたい姿』や『将来の夢』を見るなら上向き矢印だ。「自分の問題」アプローチより、「自分の夢」アプローチの方が前向きで、はるかに受け入れやすく、取り組みやすい。

SFAの適用事例
こんな事例を経験した。ある製造業で、製品の売上を3倍化する中期経営計画を立て、収益を回復して株価を好転させようとした。始めの2年間で売上は回復基調に入ったものの、利益がでず、3年目に入るにあたり見直しが図られた。
利益の出ない原因が追究された。お客様のニーズによって仕様が細分化、製品ライナンナップが増えすぎ、多品種少量生産をしている。品質が追いつかずクレーム、修理などサービスにコストがかかっている。元々、マーケットが小さいのに無理をして進出した経営判断に問題があった。などなど、議論は尽きなかった。
SFAのコーチが会議に呼ばれた。コーチはこれまでの原因分析については何も聞かずに
「それで、みなさんお望みのゴールは何ですか?」と質問した。
「それについてこれまでいろいろな原因を洗い出してきたんですよ」
「それがわかったら苦労しません」
「営業がしっかりしていないからです」
「製造品質、技術の問題でしょう。そこに手をつけることです」
コーチはさらに繰り返したずねた。もう一度聞きます。
「それで、みなさんの3年後のありたい姿、ゴールは何ですか?」解決に焦点を合わせ続ける。
その時、誰かが言った。
「たくさんのお客さんに喜ばれることだよ。もっと安くすればいいんじゃないの?」
この発言に対して、ほかのメンバーからは笑いがもれたが、コンサルタントは
「そのやり方がとれるなら、いいんじゃないですか?みんなで考えて見ましょう。」と言った。
合宿して検討してみた所、基本機能に絞って安くした製品も可能で、需要も大きそうなことが分かった。打ち上げの懇親会では誰それとなく話題にした「営業と製造と経営者が、揃ってお客様の方を向いたのは何時以来だろう?」(苦笑)
その後、新製品は見事に売上台数を伸ばし旧製品の3倍に成長、高収益体質になり株価も2倍になった。営業も製造も、時間を作ってはユーザー訪問し始めた。営業案件やクレーム・修理も無いのに(笑)。
※ 文脈展開はAll about掲載の青木輝安さんへの取材記事を下敷きにしている。
(http://allabout.co.jp/career/management/closeup/CU20050820A/)
人的サービスとモノ作りの違い
モノ作りとサービスとでは顧客満足の判断基準が異なっていると思う。モノ作りに期待されているのは100%の品質であり、期待通りで顧客満足が得られる。一方、営業や接客ほかのサービスでは、100%は当たり前で、それ以上の良さ、驚きがないと顧客満足にならない。
経営改善やシステム化による業務改善の仕事をしていると、問題・課題の明確化・分析の段階で、「ニワトリが先か⇔タマゴが先か」関係でループしている問題が発見されることがある。たとえばIT系の企業で「技術がないから仕事がとれない ⇔ 仕事が取れないから技術者が育たない」「生産性が悪いから仕事がとれない ⇔ 仕事が取れないから生産性が上がらない」というループだ。
モノ作りなら、フィッシュボーン図で原因分析をして、バリューエンジニアリングも使い、品質100%にして問題解決できる。だが、サービスでは人や組織に関係するとニワトリ⇔タマゴ関係ができやすく、ひたすら問題の分析と検討、明確化に時間を費やすことになりやすい。いつまでたっても問題解決の検討に入れなくなることさえある。青木輝安さんの言う、「人の関わることがらで問題志向アプローチを使うと萎縮、反感、ストレスにつながる」のはどうも事実だ。人的サービスの仕事ではSFAを使うほうが良さそうである。
個人の力を組織の力に
SFAはブリーフセラピーから生まれた。心理療法から生まれた方法だから、安全性は高く、危険性は少ない。コーチング手法としてもシンプルで身につけさせやすい。
「3つの原則」があるという。
(1) 壊れていないなら、修復するな(うまくいっていることを変更するな)
(2) 一度やってうまくいったなら、またそれをせよ
(3) うまくいっていないのであれば、何か違うことをせよ
大学を卒業し大手企業に入社した人たちには「いい子」が多い。理想的な「あるべき姿」を伝えると、ギャップに苦しむ人がいたり、上司や先輩が「あるべき姿」ではないためにどうしていいのかわからなくなる人も多いようだ。SFAのポジティブ・アプローチを採用すれば、現状肯定で心が楽になり、前向きに次のステップに向かって行ける。一人ひとりが活き活きとして良い力を発揮してもらえば、組織の力は強くなる。私は人に関係する問題解決、コーチング、カウンセリング、ニワトリ⇔タマゴ関係の解決にはSFAを採用することをお勧めする。
※ 出典: 橋本文隆「問題解決力を高めるソリューション・フォーカス入門」PHP研究所
サイエンティア東京本社 人事・人材システム コンシェルジュ 大塚慶吾







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